#01-01-01:戦艦登場!

静心 :chapter 01 コメンタリー-静心
第一章ヘッダー

01-01:セイレネス・ロンド」に対応したコメンタリーとなります。

さていきなりの展開ですが、戦艦が登場します。
戦艦です。戦艦大和とかアイオワとかいう意味の戦艦。

本作「静心にて、花の散るらむ」は、ここではない世界ではありますが、近未来という世界。文明文化は踏襲しているけれども、地理とか政治では全く別世界という感じ。なので、「戦艦」というのは時代遅れの、いわばの概念なわけです。敵国の戦闘機乗りアビエイターが「こいつ、戦艦バトルシップ……なのか?」とつぶやいたりしていますが、ぶっちゃけ「こんなもん作るなんて正気の沙汰じゃねぇぞ」っていうような歴史上の遺物なわけですね。

しかし、そのサイズは空母の2倍。航空母艦といえば300~350メートルあるわけでして。つまり、この戦艦「セイレーンEMイーエム-AZエイズィ」と「ウラニア」は650mほどあるということになります。アホみたいにでかいです。かつて戦艦大和や武蔵を見た人々は「こんなものが沈むはずがない」と思ったといいますが、それの二倍ですからね、これ。作者ながらとんでもねぇものを創ってしまったという気がします。ちなみに銀河英雄伝説のブリュンヒルトは1007メートルらしいです。悔しいな!←

曙光に向かって進む二隻の戦艦は、豪勢な沈黙をまといながらを待っていた。

さてさて、こういう(↑)描写が出てきます。用意、スタート! の用意! の段階ですね。
「曙光に向かって進む」というのはビジュアル的にかっこよくね? という意味で書いています。太陽を真正面に受ける「白銀に輝く流線型」の戦艦。ぬるっとした感じで。でもこれ、絵に描いてみて思ったんですが、どうやって描いてもブリュンヒルトになっちゃうのでかなりアレです。おのれ金髪の孺子こぞう
あと、「曙光」という単語でニーチェを連想したあなた、さすがです。私と気が合いそうです。

で、「豪勢な沈黙を纏いながら」という表現ですが、コレはですね、色々イメージできると思うんですけど「全くなんの動きもない」という沈黙と、けたたましい機関駆動音が重なってる……というイメージがしっくり来るかなぁと思っていたりします。あれ、「ファイブスター物語ストーリーズ」的に言うところの、MHが立っているシーン。ジュノーのハグーダ戦なんかでLEDミラージュがズラッと立ってるじゃないですか。でもものすごいブォンブォンブォンブォンフィーンフィーンフィーン!って効果音がやかましく流れている。ああいうの。

ちなみにこの戦艦たちは、マイクロブラックホールを利用したジェネレータを搭載しています。マイクロブラックホールを連星化して高速回転させることによってエネルギーを得る……ものそい簡単に言うとそんな感じ。そのジェネレータ搭載にアホほど機材がでかくなってしまったというのも、戦艦が巨大化した理由の一つ。コアとなる「セイレネス」システム自体もものすごくでっかいんですが。

『レベッカよりヴェーラ。敵艦隊。真東に二百二十キロ。総数三個、航空母艦六隻。推定航空戦力百五十以上。状況進行、シーケンス、1・1・2、バトコンレベル最大』

実は本作、開幕第一声はレベッカ(ベッキー)さんなんですねこれが。インパクト的に常にヴェーラの方に持っていかれちゃうんですが、レベッカさんもヴェーラと同等の能力を有しているので忘れないであげて欲しい。
さて、二百二十キロというと、当然水平線の彼方ですから、「目視」は不可能なんですね。でも、レベッカは「視認」という表現をしている。これがどういうことかと言うと、彼女たちには「見えている」ということです。距離とか無視しますからね、この人たち。後に「見える」というのがどういう意味かがわかってくるので、ここでは「あー、みえてるんだー」くらいのアレで。
で、「バトコンレベル」っていうのが出てきますが、私がこの言葉を知ったのは大学生の頃に「ゼノギアス」ってゲームにおいてです。ゼノギアス、名作だよなぁと思うんですが、なかなか同志に巡り合わない。ちくしょう。
意味的には「バトコンレベル最大!」は「臨戦態勢!」とか「総員第一種戦闘配置!(ガンダム風)」とかそういう意味だと思っていいです。

『ヴェーラよりレベッカ。通信回線ラインを奪った。ついでに翻訳トランスも噛ませて本国に送信しよう』
『敵航空戦力の発艦テイク・オフを確認したわ、警戒ビウェア
AA対空戦闘はきみの仕事ビジネスだろ、ベッキー』
『戦艦、傷つけたらいろんな人から怒られるわよ』
『……ちぇっ、それもそうだね。こういう時は、まずは敵航空戦力を殲滅。しかる後に艦隊を撃滅。でいいんだっけ、ベッキー』
『もう、まったく! それを今になって確認する? そうよイエスそれでいいわアファーマティヴ

この辺のやり取りで二人の信頼関係がわかるかな! わかるよね! わかれ! 性格もわかるはず……!
あと、明確に「あ、この人達の国の言語は【英語】なんだ」ってわかるようになっていると思います。
個人的には、”Yes, affirmative” という表現が好きです(゚∀゚)

そしていよいよ敵の航空機が160機ほど襲来するわけですが。
――待て、次号!

→次号

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