ヴェーラ・グリエール専用のセイレネス搭載型戦艦セイレーンEM-AZ。
「静心」では初の戦艦のように記載されていて、実際に「静心」では、この「セイレーンEM-AZ」および、レベッカの「ウラニア」は100年ぶりに登場した戦艦である。が、「セイレネス・ロンド」の方では少々事情が違っていて、巡洋戦艦デメテルというものがヴェーラの最初の戦艦である。「セイレネス・ロンド」内では、静心の#01-01にあたる戦闘では、ヴェーラが乗っているのはこの巡洋戦艦デメテルの方である。なお、レベッカが乗っていたのは巡洋戦艦「エリニュス」である。静心でも当初はこの巡洋戦艦→戦艦の乗り換えを書こうと思ったのだが、主題と関係ないなということでオミットした。結果、ヴェーラおよびイザベラは終始一貫、この「セイレーンEM-AZ」を操っている。
セイレーンEM-AZの「EM-AZ」だが、これは「Extra-Material-Alpha to Omega」の略。「(実体を超えた)論理における最先と最果」という意味を込められた名前である。設計者はマリアの所属しているホメロス社の誰かだが、実際に運用ベースの調整を行ったのは、セイレネスといえばこの人、ブルクハルト教官(技術士官)である。セイレネスの増幅装置は、2088年当時最高レベルの試作品を投入されている。いわばガンダムである。運用コストも凄まじく、本艦一隻で、通常艦隊一個艦隊運用のコストを上回るらしい。
全長650メートルという馬鹿げたサイズももちろんのこと、大口径口径可変砲、粒子ビーム砲、電磁投射砲の他、艦首搭載の雷霆とよばれるセイレネス専用のエネルギー砲がある。仮にセイレネスが発動していなくても、圧倒的な戦力となり得る超巨大戦艦である。サイズ感は、ざっくりいうと航空母艦の2倍である。本艦そのものについては、コメンタリー01-01-01で詳しく記述しているので、そちらも参照して欲しい。ビジュアル的には「でかい・流線型・白銀・つよそう」程度でなんとなく描いてもらえれば十分である。
ちなみにコミカライズ版はC1-1(最初のエピソード)から、ウラニアとともに大暴れしている。下のはその一部。
「セイレーンEM-AZ」とレベッカの「ウラニア」は同型艦であり、装備も95%程度が同じ。搭載試作兵器が幾らか違う程度であるが、ふたりとも通常兵器はほとんど使うことがないため(試作兵器のテストに関しては参加するが)、最新鋭技術も宝の持ち腐れである。
これはセイレーンEM-AZのものというよりはヴェーラ(およびイザベラ)の力によるところが大きいが、有効打撃距離はヴェーラの場合(ガチ本気を出すと)300キロメートル(以上)にも及ぶ。最初の戦艦戦闘では200キロ程度だったようだが、その後「慣れ」も出てきて更に伸長されている。
ゆえに圧倒的アウトレンジで敵戦力を粉砕することが可能で、実際にエディタたちが登場するまではそういった戦い方をせざるを得なかった。それがヴェーラたちの心労を深刻にしていったのだが。そういう意味では、この圧倒的な戦艦・セイレーンEM-AZもまた、ヴェーラに引き金を引かせてしまった要素だったのかもしれない。
いずれにせよ、この美しき大量殺戮兵器は国民からの圧倒的支持を受けた「ヤーグベルテの象徴」として君臨する。