コルベットは「小型雷撃艦」と表記される。魚雷攻撃に特化した小型艦であり、C級歌姫の中でも歌姫の能力が低い者に与えられる。そしてその分、セイレネスにはあまり頼らなくても大火力を発揮できるようにということで、重巡洋艦はおろか航空母艦でさえ(あたれば)沈められる「亜音速魚雷」を満載したのがこのコルベットである。
なお、亜音速魚雷というのは、「静心」第一話時点では「新兵器」という扱いだったが、2090年代後半では通常兵器にカテゴライズされている。文字通り、水中を亜音速で突っ込んでくる魚雷だが、ここで注目すべきは「水中の亜音速」。「水中の音速」というのは、空中のもの(いわゆるマッハ)よりも圧倒的に速く、秒速約1500メートル。亜音速なので、実際の所はそれよりは遅いのだが、それでも1秒で1キロメートル近くは進んでくる(しかも誘導装置付きである。一直線に進むのならば1000メートル/秒は超えるはず)。回避行動も間に合うものではない上に、その速度が打ち出してくる破壊力も驚異的。なので、実は主砲やミサイルの類よりもこの亜音速魚雷が怖い、と言われている。今も昔も魚雷は必殺の兵器なのだ。同時に、素敵な価格でもある。
話を戻して。この小型雷撃艦は、小型砲撃艦に比べると装甲はさらに薄く、防御力はセイレネスの力を借りても紙である。しかし速度はあり一撃離脱性能に優れている。亜音速魚雷を近距離で撃ち込んで逃げる、というのが基本戦術である。ちなみに速度は出るが細かい機動は苦手である。
コルベットとはいえ歌姫が乗っており、また、必ず重巡洋艦クラス(つまりV級歌姫)の随伴として現れるため、魚雷を放たれる前に狙って撃破するのは至難の技である。また、近距離で亜音速魚雷を打たれると魚雷の迎撃確率も大幅に下がってしまう。敵にしてみれば異様にいやらしい手合いであるといえる。
「あんな艦にやられる、だと?!」と叫んで死んだ者は数知れず、である。