エディット! エディットはどうしちゃったの!?
わたしは叫んだ。ベッキーがわたしをきつく抱きしめる。階段の下に横たわるエディット。新雪が赤く染まっている。迎えの車に乗っていたジョンソンさんが飛び出してきて、エディットを物陰に引きずり込む。
何が起こったのか。
わたしは状況の理解ができなかった。ベッキーの腕を振り払って、エディットのそばに駆け寄った。わたしの髪の毛先が、エディットの血を吸って赤く染まる。
「ごめんね、私……」
エディットは苦しそうな声を発する。わたしはその右手を掴み取り、少しでも体温を分け与えようと力を込める。
「ジョンソンさん! 治療を急いで!」
わたしはそう言ったが、ジョンソンさんは悲しげに首を振るばかりだった。わたしにだってわかっている。到底助かる怪我じゃないことくらい。雑踏の喧騒に阻まれる救急車の音が、腹立たしいほど遠かった。
「だ、だいじょうぶだよ、エディット。いいんだよ、心配ないよ。心配ないから! 謝らないで」
だいじょうぶ――今までこれほど虚しい「だいじょうぶ」を口にしたことはなかった。でも、今のわたしにはそんな虚しいこと以外にできることは何もない。ベッキーと二人で、エディットの手を握るわたしたちには、それ以外のカードはなかった。なんて力のない、なんて意味のないカードなんだ。
「まだまだ、遊びに来たら、だめだ、から、ね」
エディットはそう言うと、寂しげに微笑んでゆっくりと目を閉じた。
「エディット! エディットぉぉぉぉぉっ!」
わたしは両手を血に染めながら、服もまた赤く汚しながら、エディットの身体に縋り付いた。涙が止まらない。嗚咽も止められない。
「うそだ……」
現実だ。でも、こんな現実があってたまるか。わたしの大切な人が、こんな簡単に失われていいなんて現実があっていいものか。
しかし現実に、エディットの体温はすっかり冬の寒さに溶けてしまっていた。ピクリとも動かない。声をかけても手を握り返してはくれない。
「うそだ、こんなの!」
わたしの声はすっかりかすれていた。
「エディット……」
わたしは、どうしたらいいの?
どうしたらこの胸の痛みを忘れられる?
わたし――。