「我々が必死に戦っているのを、歌姫たちが命を賭けて戦っているのを、実験と称して眺めている者がいる。そういう理解でよろしいですね、大佐」
参謀部第六課統括。歌姫艦隊(第一、第二艦隊)の指揮責任者でもある。
愛称はアレックスだが……もうその名で彼女を呼ぶ人はこの世にいない。
元狙撃手という異色の経歴を持つ。前統括、エディット・ルフェーブルによって見出されて参謀部に引き抜かれた。
いつでも冷静さを失わず、精神的・身体的に圧倒的なタフネスを持つ女傑。そんな彼女が激昂するシーンもある(#03-06)。彼女なりに歌姫たちを思っているということの発露。また、戦争を必然として受け入れながらも、それを取り巻く人々には強い苛立ちを覚えてもいる。「静心」ではその心の機微までは描かなかったが、「セイレネス・ロンド」では彼女の魅力や能力、あるいは葛藤のようなものを細かく描いてあるのでぜひ参照のほど。
歌姫計画を巡り、マリア・カワセ大佐と激しく対立するも、その政争に破れて名ばかり責任者に追いやられてしまう。彼女なりの正義感と義侠心は、マリアには全く通用しなかった。彼女ほどの能力を有していながらも、マリアの政治力の前には刃が立たなかったと言うべきなのだろう。
マリオンたち歌姫からも「こわいひと」と思われている節がある。それはひとえに、ハーディはまずめったに人前では感情を見せないからである。彼女が笑顔を見せたりジョークを言ったりできた相手は、やはりもうこの世にはいないのである。
彼女はとにかく報われない人なのだ。
「強すぎる正義は自分を焚くぞ」とはカティ・メラルティン大佐の言葉だが、その根底にはハーディの境遇への思いがあるのかもしれない。