歌姫は背明の海に 01-2-1:葬儀にて響く銃声 二〇九一年一月三十一日――。 エディット・ルフェーブルの葬儀は、実に小規模に行われた。一応は軍による公式の葬儀であったから、参列者自体は数百名を数えた。だが彼らのほとんどは、一通りの儀式が終わると同時に潮が引くようにいなくなって... 2023.05.04 歌姫は背明の海に本文-ヴェーラ編3
歌姫は背明の海に 01-1-2:推測と直感 リビュエ艦内に響き続ける分厚い重低音。それは当たり前のように常に存在し続けていて、だから普段は全く意識すらしない。だが、今はそれが酷く耳につく。ノイズだった。この|艦《ふね》にいる間は、決して逃れられない、悪意のないノイズだ。 ... 2023.05.03 歌姫は背明の海に本文-ヴェーラ編3
歌姫は背明の海に 01-1-1:報せ 着艦直後に入ってきた情報に、カティは我が耳を疑った。真紅の愛機から飛び降りて、走りながら艦内通信用のヘッドセットを装着する。 「姉さ……じゃない、ルフェーブル大佐が暗殺だって? それは本当なのか。確度は」『間違いありません。参謀本... 2023.04.30 歌姫は背明の海に本文-ヴェーラ編3
歌姫は背明の海に 00-0-1:新雪を染める エディット! エディットはどうしちゃったの!? わたしは叫んだ。ベッキーがわたしをきつく抱きしめる。階段の下に横たわるエディット。新雪が赤く染まっている。迎えの車に乗っていたジョンソンさんが飛び出してきて、エディットを物陰に引き... 2023.04.29 歌姫は背明の海に本文-ヴェーラ編3