歌姫は背明の海に

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04-2-3:進級と試練

 二〇九三年十月――エディタたちは揃って歌姫養成科のニ年へと進級した。それはつまり、エディタたちに後輩ができたということでもある。そのことは彼女たちを少なからず浮足立たせた。  しかし、大方の予測に反し、第二期生の中には|V級《ヴォ...
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04-2-2:ペンデュラム

 硬直してしまったエディタを見て、ヴェーラは温度の低い微笑を顔に貼り付ける。 「ま、冗談はおいておくとして」「趣味悪いわよ」  レベッカはブランデーのボトルを死守しながら抗議する。ヴェーラは面倒くさそうに右手をひらひらと振って...
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04-2-1:病めるものたち

 それから一週間後、十月になろうかという頃――。  エディタはヴェーラの自宅――つまりエディット・ルフェーブルの邸宅であった場所だが――へと招待された。訓練を終えて寮に帰って一息ついた頃、突然電話で呼び出されたのである。 「す...
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04-1-3:ブルクハルトの危惧

 ふと、エディタは視線に気が付く。モニタルーム内にいるブルクハルトがエディタを見ていた。ブルクハルトは小さく右手をあげて、「こっちにおいで」とジェスチャーでエディタを呼ぶ。 「失礼します」  エディタはおずおずとモニタルームの...
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04-1-2:ハーディとの対話

 はたと気付けば、エディタの意識は暗いシミュレータの筐体の中に戻ってきていた。擦過音と共に天蓋が開くと、そこにトリーネの心配そうな顔が覗いた。 「だいじょうぶ?」「ああ、多分……。私、どのくらいこうしてた?」「一分くらい? たいした...
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04-1-1:深淵を覗く時……

 巡洋戦艦デメテルの進水から四ヶ月後、二〇九三年九月――。  エディタたち四名の|V級《ヴォーカリスト》歌姫たちは、それぞれシミュレータを経由して最前線の戦いの様子を見つめていた。  四人が見ているのは通常の艦対艦の戦闘ではな...
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03-1-3:ロジカル・レイヤー

 ヴェーラはほとんど真っ暗なコア連結室の中で、シートに背中を預けたまま、腕を組んだ。 「イスランシオ大佐とのコミュニケーションが成立した……!」  その事実は、戦闘をモニタリングしているブルクハルト中佐やハーディ中佐も認識した...
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03-1-2:イスランシオとの対峙

 二〇九三年五月、巡洋戦艦デメテルが進水して一週間後、薄暮の頃――。 「まったく! 次から次からぁっ!」  ヴェーラは数隻の防空駆逐艦、およびボレアス飛行隊を率いて、対空戦闘を繰り広げていた。数十機ものナイトゴーントが近海域に...
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03-1-1:巡洋戦艦デメテル

 二〇九三年四月末――ヤーグベルテ統合首都では、気の早い桜が開花し始める頃である。  ヴェーラは仏頂面で、眼下に佇む新型巡洋戦艦デメテルを睨んでいた。ヴェーラのいる司令室からは、広大な秘匿ドックが一望できる。このドックは貫通爆弾です...
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02-3-2:提督と女帝

 参謀部の車から、転げるようにして飛び出してきたのはヴェーラだった。|門扉《もんぴ》のセキュリティが解除されるなり、ヴェーラはカティに飛びついた。レベッカは運転手のプルースト中尉に礼を言ってから、落ち着いた様子で降りて……滑って転びそうに...
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