#02-01-01:士官学校で再会!

静心 :chapter 02 コメンタリー-静心
第二章ヘッダー

これは「02-01: 五年後――私たちは士官学校にて再会する」に対応したコメンタリーです。

時間は飛んで、2095年です。ちなみに士官学校の年度は10月スタート。前回マリオンアルマが遭遇しているのが2090年8月なので、5年ちょっとは空いているということになります。また、士官学校、当初は高校卒業後の大学相当のところにあったわけですが、この「歌姫計画セイレネスシーケンス」を円滑かつ迅速に進めるためにガッツリ前倒しし、高校相当のポジションになっています。およそ18歳で卒業→配属になります。が、一応(名目上は)「軍に所属する」ことは本人の選択。軍に行かないという選択肢もなくはないのです。……という建前から、全員が「望んで軍に入る」ということになるわけです。士官学校を卒業して軍に入らないというのは、事実上ありえないことなのです、この戦時下体制のヤーグベルテでは。ましてやマリオンたちの所属する「歌姫養成科」は、入学の時点ですでに拒否権が無い(※事実上)

というと一見ひどいと感じられるかもしれないんですが、実際問題、士官学校「歌姫養成科」に入ることは、ヤーグベルテ最高のアイドルであるところのヴェーラ、あるいはレベッカ、その後から登場したエディタ・レスコら上位の歌姫と「お近づきになれる」唯一の選択肢と言えます。歌姫セイレーンは無意識的に強い歌姫に惹かれやすい性質があるため、必然的に「入りたくない」という歌姫候補生は圧倒的少数派になるわけです。まして、孤児であるところのマリオンやアルマは、法律に拠って保護される年齢が15歳までなので、士官学校に入らない限りは露頭に迷いかねないという瀬戸際でもあったわけです。

さて、マリーさん。#01-03の夢でもみていたのでしょう。絶叫して目を覚まして、二段ベッドの上にいたアルマに「こるぁ!」と怒られます。この時すでにアルマさんは三色頭。ピンク+青+黒です。アルマさんはおでこが広いらしいです。

で、出てきました、

私は枕元の古風レトロな目覚まし時計を見た。

賭けても良いとか言われていた目覚まし時計がコレです。
マリーさんはそこに手を合わせたりして、アルマから突っ込まれます。

「ちょっとマリー! 時計に手を合わせてどうするのさ! あたしでしょ、手を合わせる相手!」
「ごめーん」

マリオンさんのノリがちょっと軽くなってますね。まぁ、5年以上経ってますから、少しは成長したんでしょう、マリオンさん。とはいえ、マリーがここまでおちゃらけるのはルームメイトのアルマ(あと先輩・レニー)の前でだけです。基本的に外に出ると借りてきた猫ですからね、この人。

 起床時間まであと一時間。寝るべきか寝ざるべきか。それが問題だ。いや、これは問題クエスチョンではない。答えは既に出ている。

この「〇〇するべきか、〇〇せざるべきか。それが問題だ」はシェイクスピアのハムレットが元ネタですね。これ、終盤でも出てくるのでアレしてください。ちなみに原文だと「To be, or not to be, that is the question」ですね。その意味の本来的なところはこのコメンタリーの然るべきところで解説すると思う。忘れていなければ。

で、アルマさんはマリオン大好きすぎる人なので、隙あらばベッドに侵入してきます。マリーも実はまんざらでもなくて(でもこの時点では百合百合な感じではない)ちょっとだけその日課的なスキンシップを楽しんでいるというか待っている風もあったりなかったり。

で、アルマさんリズムゲーム大好きすぎる人なのですが、達人です。三次元的なゲームになっているので、現在のリアル世界でのリズムゲームよりも遥かに難しいと思いますが、アルマさんはなんの問題もなくクリアしていきます。このゲームが後にちょっとしたキーになってきます。あと、歌姫的にはこのアルマがやっているリズムゲームは必須科目のようなもので、また、収録曲(全てセイレーンによるもの)の暗記も暗黙の了解で義務化されています。エディタやトリーネといった後発の歌姫たちの歌も含めると数百曲あると思うんだけど。
※アルマさんのゲームモードは最高難易度の更に上、隠し難易度『神』。
※ちなみにトロいマリオンさんは苦手なようです。

その後、アルマはマリオンの耳を噛んだりしてますが、とにかくアルマさんは女の子が大好きなんです。でもスキンシップをしたのはマリオンが初めて。それまでは可愛い女の子を見かけては悶々とする日々を送っていたりするんですが、アルマさんは初めて出会った日からずっと、マリオンとの再会を願っていたりもしたんですね、これが。

そんなこんなで二度寝を諦めたマリオンはニュースサイトをチェックします。
日課なんですな、これが。

 私がこの士官学校に入学する直前に起きた大事件――ヴェーラ未遂事件。その事件こそ、私が士官学校で支給された携帯端末モバイルで見た初めてのニュースだった。とはいうものの、ヴェーラ・グリエールは……未だ生死の境を彷徨さまよっているのだという。だから私たちとヴェーラのの約束は未だ果たせてていない。

なんと、この時点でヴェーラは焼身自殺を図っているのです。
全身大火傷で昏睡状態が続いている……わけです。
「再会の約束」をしたのに、それが果たせていないと。コレを果たせるのは……! というわけです。読まれた方ならわかりますね。これは重要なワンフレーズです。

でもって、ここで#01-03のライヴの様子についてアルマと話をしていることから、あれはただの「夢」ではないことがわかるわけです。

その後ゴニャゴニャあって、アルマのゲームが進みまして。
出てくる曲名が「ナイト・フライト・イクシオン」。

イクシオンというのはF102戦闘機の名前です。F14トムキャットみたいな感じですね。
で、西暦2095年時点での主力戦闘機はF108(と107のハイローミックス)。なので、F102が超古い事がわかると思います。実際に、ジョルジュ・ベルリオーズが登場して「ジークフリート」を作り上げる以前の戦闘機なので、アビオニクスも何もかもが古い。2080年以降では特に「羽つき棺桶」などと呼ばれています。ポジション的にはガンダムで言うボールでしょうか。周囲がジェガンとかで埋め尽くされる中にいるボール。そのくらいの時代の差があります。とはいえ、控えめに見てもF35以上の性能はあるはずですが。

この「ナイト・フライト・イクシオン」というのは、西暦2084年に起きた士官学校襲撃事件で、後の「空の女帝エアリアル・エンプレスカティ・メラルティンが格納庫にあったF102(なぜ旧型機が士官学校に配備されていたのかとかそういう話は、某所にある「セイレネス・ロンド」の方を参照していただきたく)で襲撃者を撃退したという出来事をモチーフにして作られた曲です。

この出撃が士官学校在籍中にしてカティの初陣となり、それ以後空軍特にエウロス飛行隊隊長「暗黒空域」カレヴィ・シベリウス大佐に見初められてエウロスに籍を置くきっかけになります。また、そこでシベリウス大佐から後継者と目されて猛特訓を受け、晴れてエウロス飛行隊の隊長というポストに就くわけです。

ですが、この士官学校での出撃、カティの認識と世間の認識にはものすごい乖離があります。カティ以外の記憶が改竄されてしまっていて、誰もその事実に気付けない。ただ、ヴェーラとレベッカだけは、カティを媒体にしてその背景を思い出すのです……。というのは、「セイレネス・ロンド」であれやこれや。

ちなみに歌っているのはエディタ・レスコとトリーネ・ヴィーケネスというV級歌姫ヴォーカリスト。デュオ曲なんですね。このエディタとトリーネは、現役の軍配備歌姫セイレーンの中では、ヴェーラ、レベッカに次ぐ、ナンバー3,4なんですよね。エディタたちは「92年四天王」と呼ばれていて、92年入学~95年卒業……なので、卒業したて=軍配備直後なんですね、この二人。四天王というからには、あと二人おりまして。それがクララ・リカーリとテレサ・ファルナです。全員V級ヴォーカリストなんですよね。ちなみにD級ディーヴァS級ソリストV級ヴォーカリストC級クワイアの順に並ぶので、V級は下から二つ目。とはいえ、激レアくらいにV級は少ないので、超強力な戦力ということになります。S級ソリストはマリオンたちの部屋の三人、つまり、マリオン、アルマ、レネ・グリーグの三人。この人たちは「超激レア」。D級ディーヴァはイベント配布オンリーです(?

92年四天王の中でもリーダーであるところのエディタ・レスコは、沈着冷静頭脳明晰な美女にして指揮官タイプ。この後マリオンたちが前線配備されるまで事実上の前線指揮官として八面六臂の大活躍をするわけです。歌姫セイレーンとしての実力も確かですが、指揮官としての能力やカリスマがすごい。デスクワークも得意な上に、ライヴステージのパフォーマンスもまた絶品という人です。ただ、ちょっと頭が固い(笑)

さて、次回はマリーが柴犬事件です!(わけがわからないよ!)
――待て、次号!

→次号

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