38. マルヤーナ・エルスナー

キャラクター紹介(絵なし) 人物-セイレネス・ロンド
キャラクター紹介

作者的にはかなり気に入っている人物なのだが、「静心」には登場していない。出番があるのは「セイレネス・ロンド」第一部のみ。第二部、第三部でも出そうと試みたが、登場人物が一気に増えていかざるをえなかったため泣く泣くカットとなった。

エルスナーはエウロス飛行隊隊長「暗黒空域」カレヴィ・シベリウスの副官として、地上勤務を支えていた。登場時はおそらく20代後半で事務職一辺倒ながらも大尉であることから、その有能さが伺える。事務職onlyである場合、目覚ましい功績を挙げることが難しく、そのため昇格難易度は極めて高いのがこの世界の常識である。技術職のあのブルクハルトが同年代で中尉であることからも、前線勤務に対して後方勤務要員の査定が厳しいかが分かる。また、エルスナー本人は航空機ライセンスを持っていないが、経理や事務に関する資格なら山程取得している資格魔である。

エルスナーが誇れるのは資格の数だけではない。情報収集力や洞察力、分析力も非常に高く、常にシベリウスを唸らせたり気付きを与えたりするという、ある意味ではエウロス飛行隊の頭脳のような人物なのである。その頭の回転の良さは、シベリウスの親友である「異次元の手」イスランシオですら感心していたようである。

このように言わばキレ者であるエルスナーには、豪胆豪傑なシベリウスですら頭が上がらなかったようである。そして二人のやり取りは部隊内でもしばしば「夫婦漫才」とからかわれていたようでもある。無論、ボケがシベリウスである。

彼女は「物怖じ」という言葉からは極めて遠い人物であり、誰に対しても言うべき意見はズバズバ言えてしまう性格と度胸の持ち主である。それがあるからシベリウスは彼女に一目置いていたわけだが。というか、そもそも、エウロス飛行隊の連中はどいつもこいつも遠慮というものを知らない猛者の集いであるから、その中にあってある意味恐れられていた彼女の舌鋒はさぞや鋭かったことだろう。

シベリウス戦死後については特に本文中では語られてはいないのだが、シベリウスの次に隊長の地位についた「空の女帝」カティ・メラルティンの副官にスライドしている。彼女の知識と明晰な頭脳には、カティはいつも助けられているようだ。カティのデスクワークの大半をエルスナーが引き受けていることもまた、カティ直属の部隊である『エンプレス隊』の狂った練度を支えていると言えるだろう。カティより7,8歳は年上であるが、それ故にきっと上手くやれていることだろう。

彼女はエウロス飛行隊自体の狂った強さを影で支える、事務職の達人である。もし、シベリウスの副官に彼女が抜擢されていなかったら、もしかしたら「暗黒空域」から「空の女帝」に続く、無敵のエウロス飛行隊は存在しなかったかもしれない。

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