いわゆる天才技術者である。技術に関することだけなら、もしかすると全ての黒幕とも言える、ジョルジュ・ベルリオーズに匹敵するかもしれない超人。超AI、ジークフリートすら手懐けるとまことしやかに囁かれている。
ブルクハルトなしには「セイレネス・システム」の運用ができないとすら言われているほどの、セイレネスマスター。使用者である歌姫たちよりも圧倒的に詳しい。ヴェーラやレベッカですら、運用方法についてはブルクハルトに頼り切りであり、ブルクハルトがいなくなったら大変だと常々言っている。
しかし、当のブルクハルトは「組織というものは誰が欠けたところで立ち行かなくなるなんてことはない」ととても理系的なドライな目で物事を見ている。クールだが気取ったところがなく、また、心の機微に疎いという自覚もあることから、論理的思考を駆使して他人を慮ることもできる。彼の主たる活躍は「セイレネス・ロンド」の方で多数描かれているが、彼を突き動かすのは純粋に「好奇心」であり、意地だの保身だのではない。まったくもって無欲な男である。「セイレネス・ロンド」初出時は中尉だが、「静心にて、花の散るらむ」終了時点では中佐まで昇進している。が、当の本人はそんなことには全く興味がないようだ。
彼は「セイレネス」に関する全てにおける技術責任者であり、開発主任である。というより、ほぼ独力でセイレネス周りのシステムを構築してしまっている。そしてそのシステムの残酷さにもいち早く気付いており、歌姫たち、こと、ヴェーラとレベッカに対する引け目を覚えている。全く表には出さないが。また、セイレネス・シミュレータを構築したのもブルクハルトであり、戦艦の設計や、マリオンたちの載る最新鋭新型艦艇・制海掃討駆逐艦の設計技術者でもある。変形させるのが好きなようだ。そして「空の女帝」カティ専用の実験機スキュラ、その情報をフィードバックして再設計された大型戦闘機エキドナもまた、カティの能力を誰よりも早く見抜いたブルクハルトの手によるものである。彼はヤーグベルテの軍に於ける最大の功労者と言っても良いだろう。
ブルクハルトはまた、2084年の士官学校襲撃事件に遭遇しており、ジョンソン、タガートとともにヴェーラたちを守っている。同時に同校に初めて配備されたセイレネスシミュレータを用いて「セイレネス」を発動させて襲撃者を殲滅、D級歌姫喪失の危機を脱する活躍を見せている。ブルクハルトの存在なしには、士官学校襲撃事件での生存者が0になっていてもおかしくはなかった。その件もあって、ヴェーラ、レベッカには命の恩人として懐かれている。セイレネス・システムを開発、運用、維持し、その結果ヴェーラたちを苦しめることにはなっているとブルクハルトは感じているのだが、ヴェーラたちはその時の恩を返しているような感覚である。
また、エディタ・レスコを始めとする次世代の歌姫たちからも全幅の信頼を置かれており、また誰よりも尊敬されている。
セイレネス・ロンドシリーズでは決して欠くことのできない技術者である。もちろん、「歌姫」統括部署である参謀部第六課他、彼の技術がほしい部署、組織は山程あり、引く手数多である。のだが、ブルクハルトは「セイレネス・システム」に関われないなら軍に興味はないと公言して憚らず、また参謀部第六課としては最優先保護対象人物と考えているため、ブルクハルトの保護を最優先にして動いている。「うちにこないなら亡き者に」と考える組織も少なくないからだ。