歌姫は背明の海に

歌姫は背明の海に

08-1-3:完成した詞とご褒美のキス

 レベッカは大いに混乱していた。昨夜着ていたはずのブラウスが、自分の隣にきちんと畳まれて置かれているという事実に。伴い、自分の上半身がほとんど裸で、下着すら用途を|為《な》していないこと。スカートを脱いでいなかったのは幸いだが、それでも着...
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08-1-2:二人の語らい

 なし崩し的にマリアを加えた三人は、当たり障りのない話題を面白おかしく広げて話し、食事を進めていった。途中でヴェーラがピザを追加注文したり、レベッカがワインに口を付けてグラス半分で酔い潰れたりはしたが、その夜は概ね平和に過ぎていく。 ...
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08-1-1:静かな夜を迎えて

 エイブラハム市の壊滅から三ヶ月後、二〇九五年四月。ヤーグベルテ統合首都に於いては、未だ初春の頃である。エイブラハム市の復興は近隣諸都市の協力で急速に進んでいた。  そんな折、ヴェーラとレベッカは中将への昇進を果たしていた。これにて...
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07-2-2:論理の地平にて

 よろめきながら歩き去るヴェーラを見送ってから、マリアは再び壁に背を預け、拒絶するかのように腕を組んだ。 「いつから見ていたの」  その問いかけを受けて、マリアの目の前に二つの人影が現れた。《《銀》》の女と、《《金》》の女のよ...
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07-2-1:あなたの救いは。

 少女が絶命したまさにその瞬間に、エイブラハム市は文字通り吹き飛ばされた。ヴェーラが動いた時にはすでに、阻止限界点をとうに過ぎていた。いや、レベッカが語りかけたその瞬間には、少女の《《勝利》》は決まっていたのだ。  黄昏の頃のエイブ...
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07-1-2:覚悟の差

 ヴェーラはその巨大な|PBV《飛翔体》を追いかける。取り付けるか否かといったタイミングで、|PBV《飛翔体》の装甲全体に分離線が入り始めた。 「再突入体!」  しまった。ヴェーラは唇を噛んだ。|PBV《飛翔体》が分解されると...
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07-1-1:ICBM

 戦艦、セイレーン|EM《イーエム》-|AZ《エイズィ》が就役してから一ヶ月後、二〇九五年一月。アーシュオンは再び核弾頭を搭載した|ICBM《長距離大陸間弾道ミサイル》を打ち上げた。四十もの弾道ミサイルが、ヤーグベルテ本土に対して一挙飛来...
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06-3-2:わたしの道

 ハーディが出ていき、ドアが閉まるのを見届けてから、ヴェーラはマリアにその空色の瞳を向けた。 「で、だ、マリア。きみは何者なの? わたしの能力が全く通用しないなんて、普通じゃない」「そうですね」  マリアは頷いた。そして艶のあ...
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06-3-1:戦艦セイレーンEM-AZと闇色のマリア

 エディタとレネが出会ってから約二ヶ月後、ヤーグベルテ統合首都全体が雪に包まれ始めた頃、二〇九四年十二月――。  ヤーグベルテ新型《《戦艦》》の進水式は、秘密ドックにて極秘裏に行われていた。 「こいつは、なかなか……」 ...
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06-2-2:レネという少女

 圧倒的過ぎだろ――シミュレータから出たエディタはトリーネの筐体の前をウロウロと歩き回る。遅れて出てきたトリーネは、そんな様子のエディタに小さく吹き出し、エディタは|憮然《ぶぜん》とした表情を見せた。クララやテレサは、無言でレネの筐体を眺...
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