歌姫は背明の海に 28-1-3:ファクト レオノールはエディタとの約束通り、|V級《ヴォーカリスト》および全ての|C級《クワイア》を統率していた。エディタたちは文句の一つも言わずに、ただ粛々とレオノールの指揮に従っている。 レオノールは見ていた。マリオンたちが小型艦艇に... 2024.08.18 歌姫は背明の海に本文-ヴェーラ編3
歌姫は背明の海に 28-1-2:麻薬でできた人形 イザベラの号令一下、第一艦隊の火砲が|猛《たけ》る。轟音と共に放たれた弾丸は正確にアルマとマリオンの|制海掃討駆逐艦《バスターデストロイヤー》に向けて飛んでいく。 後方に控えていた戦艦空母アドラステイアから、エウロス飛行隊の戦闘... 2024.08.17 歌姫は背明の海に本文-ヴェーラ編3
歌姫は背明の海に 28-1-1:ディーヴァたちの激突 二〇九八年十二月十五日――。 あと三十分というところか。 イザベラは督戦席から立ち上がり、艦長に右手を上げてみせるとそのままコア連結室へと移動した。暗黒の連結室に入るや否や、イザベラはセイレネスを|発動《アトラクト》させ... 2024.08.11 歌姫は背明の海に本文-ヴェーラ編3
歌姫は背明の海に 27-2-1:歌い手と指揮者 レオノールが隣接の士官学校にあるシミュレータルームに着いた時、エディタを初めとする残存|V級歌姫《ヴォーカリスト》はすでに揃っていた。黒く巨大な筐体たちに思い思いに身体を預けている。 レオノールは頬を赤く腫らしたエディタを見て少... 2024.08.10 歌姫は背明の海に本文-ヴェーラ編3
歌姫は背明の海に 27-1-3:衝動 その日の夜、レオノールはエディタたちを引き連れて、マリオンとアルマの部屋を訪ねた。二人と、そしてレニーは、士官学校時代からずっと同じ部屋で暮らしていた。それは軍によって割り当てられた住居であり、当のマリオンたちはさほど疑問にも思わずそれ... 2024.08.04 歌姫は背明の海に本文-ヴェーラ編3
歌姫は背明の海に 27-1-2:レオナの憤り エディタは小さく咳払いをする。純白の論理空間の中に、ロラ、ハンナ、パトリシア、そしてレオノールが、それぞれに出現させた白いブロックの上に座っている。ヤーグベルテに残留する全|V級歌姫《ヴォーカリスト》だった。 エディタは宣言した... 2024.08.03 歌姫は背明の海に本文-ヴェーラ編3
歌姫は背明の海に 27-1-1:ブルクハルトの言葉 エディタの呼びかけにより、残った|V級歌姫《ヴォーカリスト》の全員がシミュレータルームに集っていた。エディタ、ハンナ、ロラ、パトリシア、そしてレオノールの五名である。 「すみませんが、ブルクハルト教官」「うん、使っていいよ。スタン... 2024.07.28 歌姫は背明の海に本文-ヴェーラ編3
歌姫は背明の海に 26-2-3:希望なるもの レベッカ姉様……! マリアの声にならない叫びが、闇の中に消えていく。マリアは、セイレネス・シミュレータを経由して二人のやり取りを見つめていた。マリアの能力があれば、シミュレータを使わずとも鮮明に見ることができたに違いない。しかし... 2024.07.27 歌姫は背明の海に本文-ヴェーラ編3
歌姫は背明の海に 26-2-2:You’re not selfish… セイレーン|EM《イーエム》-|AZ《エイズィ》とウラニアが、持てる火砲のそのすべてを撃ち放つ。極至近距離であるにも関わらず、その|尽《ことごと》くが弾かれる。二度目の一斉射も、結果は同じだった。 『残念だけど、それではわたしは倒... 2024.07.21 歌姫は背明の海に本文-ヴェーラ編3
歌姫は背明の海に 26-2-1:セイレネスに、賭けましょう。 セイレネス《《なんかに》》賭けなくちゃならない。 思えばその時点で私たちは間違えていたのかもしれない。 レベッカはそうとも考える。 セイレネスはもはや自分の身体の一部だった。セイレネスについて思うところはあれど、... 2024.07.20 歌姫は背明の海に本文-ヴェーラ編3