小説

本文-ヴェーラ編1

01-2-4:敵国人との交流

↑previous  カティたちの警戒心が氷解するのには、三日とかからなかった。カティに至っては、兄をさしおいて一人で様子を見に行くことさえあった。その頃には、ヴァシリーはカティにとっては「いい人」であり、敵国人であるということすら...
本文-ヴェーラ編1

01-2-3:十年前の記憶

↑previous  約十年前、二〇七一年の晴れた夏の日のことだ。  ヤーグベルテ南部にある小さな漁村、アイギス村の周囲には文字通り何もなかった。大きな道路もなく、公共交通機関も名目上存在するだけだった。村で購入した輸送ヘリが...
本文-ヴェーラ編1

01-2-2:見えてしまった過去

↑previous  行こうか――と、三人は連れ立って歩く。カティはヴェーラたちがどこに住んでいるのかを知らない。少なくともカティの住む寮ではないこと以外は。  カティの右手をそっと握りながら、ヴェーラがポツリと言った。 ...
本文-ヴェーラ編1

01-2-1:焦げ付いた記憶

↑previous  カティは講義室の前の方で講義のサマライズをしているヴェーラとレベッカに視線を送りつつ、|携帯端末《モバイル》で空軍配信の動画を眺めていた。今日更新されたばかりのものだったが、実際のところは五年前に作られた動画の...
本文-ヴェーラ編1

01-1-4:ベルヴェルク

↑previous  広大な執務室の奥、ぽつんと一つ置かれたデスクにて、青年――ジョルジュ・ベルリオーズは腕を組んで目を閉じていた。 「ふぅん」  そう呟いて目を開ける。左目が不規則に赤く明滅する。 「《《無事に》...
本文-ヴェーラ編1

01-1-3:コンタクト

↑previous  図書室を出たヴェーラとレベッカは手をつなぎながら食堂の隣の売店に向かった。目的地にこれといった根拠はない。ヴェーラの「なんとなく」が発動しただけだ。  ヴェーラはぐいぐいとレベッカを引っ張って突き進んでい...
本文-ヴェーラ編1

01-1-2:教室の片隅にて

↑previous  レベッカを先頭にして、六人の士官候補生(女子ばかり)が講義室の最前列に移動した。ヴェーラはのんびりと後をついてくる。レベッカはテキパキとタブレット端末と電子黒板を|接続《リンク》させて、試験範囲の講義を...
本文-ヴェーラ編1

01-1-1:二人の少女~ヴェーラとレベッカ~

↑previous  実に退屈な講義だ。毎回とても退屈だ。少女は長く美しい|白金の髪《プラチナブロンド》をくるくると|弄《もてあそ》びながら、あくびを噛み殺していた。戦術研究科戦史研究室の教授による講義なのだが、講義室にひしめい...
本文-ヴェーラ編1

00-0-3:世界の頂点に居座る男

↑previous  ミスティルテイン、か。いいね、プロセスは一つ進んだということだね。  自分の指先さえ認識できないほどの完全なる闇の中、そんな言葉が浮かんで消える。その直後に、その天も地もない空間に、暗黒色のスーツを着た青...
本文-ヴェーラ編1

00-0-2:赤毛の少女~ミスティルテイン

↑previous  またか。  あの夢――いや、現実。夢だったと思いたい。しかし現実に家族はもういない。生まれ育った村は地図から消えた。最初から何もなかったかのように。  アイギス村襲撃事件――その名前はそれから十年が...
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