小説

歌姫は背明の海に

16-2-2:an end

 そこは頭が痛くなるほどに、真っ白な空間だった。イスランシオは目眩を覚えて額に手をやった。何度訪れても慣れることのできなかったその空間で、イスランシオは《《それ》》を待っていた。  あらあら――。  《《銀》》の炎のようなもの...
歌姫は背明の海に

16-2-1:世界を終わらせる手段

 カティの真紅の機体――スキュラが、薄緑色に輝く|F108+IS《インターセプタ》と正対する。双方の多弾頭ミサイルが彼我の中央で|相殺《そうさい》される。二機は生じた爆炎を貫き、なおも追いすがってくる小型ミサイルから逃げる。双方ともにミサ...
歌姫は背明の海に

16-1-2:レネの剣舞

 その翌日には、|S《ソリスト》級|歌姫《セイレーン》、レネ・グリーグが第一艦隊に配属された。|V級《ヴォーカリスト》の二人、パトリシア・ルクレルクはレネとの艦船共用の都合で第一艦隊、ロラ・ロレンソは第二艦隊へと配備されることとなった。 ...
歌姫は背明の海に

16-1-1:二度目がないと思っている?

 あの戦いで受けた被害は甚大――その一言に尽きた。クロフォードが育て上げた虎の子の第七艦隊は事実上潰滅させられ、バーザック提督以下第八艦隊は文字通り全滅した。その結果、ヤーグベルテ海軍は第一、第二艦隊を除いては完全に機能不全に陥ってしまっ...
歌姫は背明の海に

15-2-5:コーラスワーク

 レベッカ率いる第二艦隊が、セイレネスの射程内に暗礁海域を捉えた時にはすでに、友軍艦隊は壊滅状態に陥っていた。駆逐艦の幾らかは未だ健在ではあったが、海域には軽巡以上の艦艇の姿はない。旗艦ウラニアの|舳先《へさき》に意識を泳がせながら、レベ...
歌姫は背明の海に

15-2-4:殲滅の歌

 アーシュオンの狙いは、第七艦隊《《そのもの》》だった。  クロフォードはようやくそのことに気が付いた。つまりバーザック提督が率いている艦隊を包囲している二個艦隊こそが敵の本隊であって、ヘスティアを追っていた二個艦隊は単なる囮――つ...
歌姫は背明の海に

15-2-3:碧く光る海

 バーザック提督率いる第八・第七連合艦隊は大いに奮戦していた。暗礁地帯で巧みな艦隊運動を見せつつ、着実に時間を稼いでいる。その堅実にして堅牢な戦いぶりには、さすがのクロフォードも舌を巻いた。だが、それでも空襲や艦対艦ミサイルの前に、その戦...
歌姫は背明の海に

15-2-2:軋轢という名のもの。

 それから約五十時間が経過した。クロフォードの搭乗する第七艦隊旗艦ヘスティアは、ノトス飛行隊の支援を受けつつ対空戦闘に突入していた。航空機で足止めしておいて、真打ちの|M《量産》型ナイアーラトテップで仕留めにかかるつもりであることは明白だ...
歌姫は背明の海に

15-2-1:第七艦隊、戦闘準備

 第七艦隊司令官、リチャード・クロフォード准将は苛々とした表情で髪の毛を掻き回した。|艦橋《ブリッジ》中央にある巨大なモニタには、第七艦隊及び第八艦隊の位置関係が詳細に映し出されていた。艦隊から四百キロほど南の方向に、アーシュオンおよびベ...
歌姫は背明の海に

15-1-1:ウラニア、進水

 その海戦より約一ヶ月後、二〇九六年十二月二十四日は、第二艦隊の新旗艦、戦艦ウラニアの進水日だった。それまでのレベッカの乗艦エリニュスは、解体の後に重巡洋艦二隻に生まれ変わることになっている。ウラニアはセイレーン|EM《イーエム》》-|A...
タイトルとURLをコピーしました