本文-ヴェーラ編2

歌姫は壮烈に舞う

12-2-4:撃破殲滅

 ヴェーラの視界から敵性体のマーカーが急速に消えていく。ヴェーラは容赦なく再度主砲を斉射する。レベッカも阿吽の呼吸でそれに同期し、戦闘領域の熱量が嵐を起こすほどに高まった。アーシュオン第四艦隊は、その砲撃により息の根を止められた。旗艦ニッ...
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12-2-3:戦艦、初陣

 不思議な感じだ。  ヴェーラは味わったことのない感覚に戸惑っている。セイレネスの起動自体はいつもどおりに実行できた。シミュレータ訓練や実戦補助の経験値の|賜《たまもの》である。  しかし、起動してからの《《感覚》》は、今まで...
歌姫は壮烈に舞う

12-2-2:突撃、殲滅せよ

 二〇八八年六月十二日、早朝――。  アーシュオン第四艦隊は三個艦隊相当の戦力を動員し、未だ暗い海原に重層な陣を展開していた。対するヤーグベルテは、クロフォード准将率いる第七艦隊のみ――表向きは――だ。ヤーグベルテ第七艦隊は、第四艦...
歌姫は壮烈に舞う

12-2-1:出撃前夜

 ヤーグベルテ統合首都、春の終わりの頃、二〇八八年五月二十六日、夜間――。  エディット邸のリビングに、ヴェーラたち四人が久しぶりに集合していた。エディットは次の作戦のために連日連夜の会議で帰ってくることが|稀《まれ》だったし、カテ...
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12-1-2:風が変わる

 クラゲこと、ナイアーラトテップを撃破殲滅し、その上アーシュオン本土に歴史的大打撃を与えることに成功したその功績により、参謀部第三課統括であるアダムスは、《《大佐》》への昇進を果たした。最高の頭脳と呼ばれる《《逃し屋》》エディットと並んだ...
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12-1-1:撤退と被害レポート

 七月二十八日、十八時になろうかという頃に、アーシュオン第四艦隊司令官ドーソン中将は撤退を宣言する。当初は残ったナイアーラトテップを用いてヤーグベルテ第七艦隊を急襲することも考えたのだが、それは中央参謀司令部第二課、ミツザキ大佐によってあ...
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11-2-3:カティの言葉、カティの掌

 カティはドアをノックする。ヴェーラの|応《いら》えはない。カティはドアを開ける。カギはかかっていなかった。かかっていたとしても、カティは蹴破っていたかもしれない。  ヴェーラは慌ててベッドの上に身を起こし、目を見開いた。 「...
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11-2-2:レベッカが明かす真実

 カティはまずヴェーラの部屋のドアを叩いた。だが、ヴェーラはカティの入室を拒否した。 「ごめんね、カティ。わたし、カティにどんな《《顔》》を見せれば良いのか、わかんないから」  室内からは|掠《かす》れた重たい声が聞こえてきた...
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11-2-1:立場と役割と

 セイレネスによる――つまり、ヴェーラとレベッカによる――アーシュオン本土攻撃から、二週間が過ぎた。  心にあまりにも深い傷を負ってしまったヴェーラとレベッカは自室に引きこもってしまった。エディットの要請で派遣されたカウンセラーも門...
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11-1-5:都市を焼く光

 アーシュオン本土は同時にいくつもの穴を開けられた。ヤーグベルテの|歌姫《セイレーン》たちによる報復攻撃。それは本作戦の主旨から外れてはいたものの、極めて効果的なものとなった。  アーシュオン本土への核攻撃。その命令は絶対だった。ヴ...
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