03-02-02:告白!

静心 :chapter 03 コメンタリー-静心
第三章ヘッダー

これは「03-02: 私たちは十字架を引き継ぐことを決めた」に対応したコメンタリーです。

さて、前回「レニーが何か知ってる」ことに気付いたマリーたちですが、レニーは何も語りません。この時レニーが何を知っていたか……については、物語の後半でエディタたちが明かします。

そんなレニーは思いつめたように言います。

「一刻も早く、私たちはディーヴァの十字架を引き受けなければならないのよ」

それに対してアルマが反論します。

「先送りにするだけじゃないか? あたしたちがディーヴァに成り代わるだけで、何も変わらないんじゃないか?」

さすがアルマさん。理解力がすごい。レニーは次のセリフにもある通り、ある意味あきらめてしまっているんですね。To be or not to be.でいうところのTo beを選んでいるというか。そしてアルマはNot to be.を明確に宣言している。あっ、このTo be or not to be. はすごく重要なキーフレーズですよ。ハムレットですね。

「私にはそれしかできない。そんな未来しか描けない。でも、アルマ。マリー。もし、あなたたちがもっと良い未来をえがけるんだって言うのならね、私は喜んでその最先いやさきになるわ」

というふうに、レニーは「自分にはこれしかできない。だけど、誰かが何かをするというのなら、もちろん捨て石にだってなる」というようなことを言うわけです。これはレニーが能力不足だとかそういう話じゃなくて、むしろ「信頼できる人が現れるなら自分はどうなっても良いからその人を助ける」という凛とした決意だと思うんですよね。レニーは自分の力というものを強く理解しているんです。とは言え、それはすごい過小評価なんですが。

憔悴しきったレニーはそのまま寝室へ消えていきます。無力感に打ちひしがれているわけです。ヴェーラを喪失した――だけでは済まないことをレニーは知っています。ある意味で知っていることと語ってはならないことの間で板挟みになっているわけです。我々の感覚で言えば高校二年生くらいですからね、レニー。とんでもなく大人な精神構造ですが、それにしたってこの状況に耐えるには若すぎると思う、うん。

そんな沈鬱な空気の中、アルマはマリオンに「レオナに電話しろ」ってことを提案します。マリオンを巡る嫉妬の中でこんな事を言うわけですから、アルマはやっぱり理性的というか、理知的というか。しかもこの提案は、マリオンを思ってのものというよりは、一人でこの悲報に直面しているレオナを思ってのもの。どんだけ愛が深いんだよ、アルマさん。

そしてTEL。レオナももちろん、ヴェーラの訃報に大ダメージを受けていました。そりゃそうだ。あこがれの人の死を突きつけられるわけですから。また、同時に「国を守ってくれていた絶対的な人間」の一人が死んだというわけですから、不安にもなる。

そして二人はぼそぼそと会話を続けていくわけですが、ここでデバガメってもセンスが無いので黙って本文読んどいてください(゜¬゜)

といいつつ、ちょっとだけ覗いておく←

「私、レオンに……キス、して欲しい」
『……その言葉、後悔しない?』
「しない」

マリオンさんはその後号泣してしまうんですけどね。それを受けてレオンは言うわけです。

『私の分も泣いてるんだよ、マリーは。ありがとう』

騎士か。騎士なのか。宝塚かよ! みたいな感じで。この辺のセリフは、おもいきり「大げさ」に振りました。

で、マリオンをグラつかせておいて、レオンは更に言うわけです。

『私は今、自分の無力さに泣きそうだ』
「レオン……?」
『君に話してあげられる話題もない。抱きしめてあげることもできない。代わりに泣いてあげることもできない』

レオンって、ずーーーーーーーっとこの物語の終わりまで、「マリオンを守れる力がない」事に歯噛みしているんです。レオンはV級ヴォーカリストですし、マリオンはS級ソリスト(とされている)。この二つの階級は1つ違いではあるけども、その差は絶望的に大きい。V級が普通車だとしたらS級は戦車です。

「守ってあげたい」という思いがある一方で、有事の際には「絶対に守れない」ということを知っている――そのことにレオンはもう既に忸怩じくじたる想いを抱いているというわけです。実際にはマリオンにとってはこの上ない精神的支えではあるのですが、やっぱりほら、好きな人を物理的に守ってあげられない……というのは騎士然としたレオンには耐え難いのかもしれない。でも、その思いがあってもなお、マリオンのことが好きだと真っ直ぐに伝えるレオンには、やっぱりそれ相応以上の覚悟があったと考えられます。

マリオンの次の言葉は、後にアルマがレニーにかける言葉の伏線というか、前フリですね。

「泣くのを我慢して欲しくないんだ。私の前だけでもいいから、その――」

でもって、ついにレオンも泣き始めてしまうわけですが……

『きっとこれ、ヴェーラの事で泣いてるんじゃないんだ』
「えと……?」
『今、君がここにいなくて、寂しくて、泣いてる。ははははっ』

キザ。キザ・オブ・キザ。こういう事をつらっと言えてしまう人物なんですね、レオンは。そういうところがモテる理由の一つもであるんですが、とにかく本人は無自覚。まったく「かっこいいだろー」とかそういう邪念を持たずにこういう事を言うわけです。

そして二人は愛の告白をしたところで、次の「03-03:イザベラ・ネーミアの宣言」に続くわけです! イザベラ様登場! そして、作中初の長台詞!

待て、次号!

→次号

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