歌姫は背明の海に

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17-2-4:エコード・コーラス

 《《コーラス》》……だって……!?  その不意打ちには、イザベラの力をもってしても対処できなかった。第一艦隊の約半数がその効果範囲内に入っていた。エディタやレネを中心にした、幾重にも重なるコーラスだった。  影響下にあった|...
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17-2-3:圧倒、からの――。

 アーシュオンの艦隊が、獰猛な牙を剥いた。死をも恐れぬ勢いで怒涛のように迫ってくる。普通に考えれば勝ち目のない戦闘。しかし、アーシュオンは攻撃一辺倒だ。 「背水の陣、というわけでもない」  イザベラはセイレネスを通じて敵艦隊の...
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17-2-2:イザベラの目

 マリア……?  コア連結室の中にいるイザベラは、マリアの不審な行動を追っていた。エレベータで別れた時にもどこか思い詰めたような表情をしていたし、確かに上の空でもあったからだ。  そしてその予感はすぐに確信へと変わった。マリア...
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17-2-1:ひずむ音

 二〇九八年五月――。  ヤーグベルテ三隻目の戦艦となるヒュペルノルが進水した。ヒュペルノルは唯一の|S《ソリスト》級歌姫、レネ・グリーグの専用戦闘艦である。  このハードウェアの追加により、イザベラ・ネーミア率いる第一艦隊は...
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17-1-1:ブラインドネス

 年が明け、カレンダーが二〇九八年に切り替わった頃――。  アーマイア・ローゼンストックは、バルムンクの作り出した闇の中に|在《あ》った。じっと佇んでいるアーマイアの視線の先にいるのは、ジョルジュ・ベルリオーズだった。ベルリオーズは...
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16-2-2:an end

 そこは頭が痛くなるほどに、真っ白な空間だった。イスランシオは目眩を覚えて額に手をやった。何度訪れても慣れることのできなかったその空間で、イスランシオは《《それ》》を待っていた。  あらあら――。  《《銀》》の炎のようなもの...
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16-2-1:世界を終わらせる手段

 カティの真紅の機体――スキュラが、薄緑色に輝く|F108+IS《インターセプタ》と正対する。双方の多弾頭ミサイルが彼我の中央で|相殺《そうさい》される。二機は生じた爆炎を貫き、なおも追いすがってくる小型ミサイルから逃げる。双方ともにミサ...
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16-1-2:レネの剣舞

 その翌日には、|S《ソリスト》級|歌姫《セイレーン》、レネ・グリーグが第一艦隊に配属された。|V級《ヴォーカリスト》の二人、パトリシア・ルクレルクはレネとの艦船共用の都合で第一艦隊、ロラ・ロレンソは第二艦隊へと配備されることとなった。 ...
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16-1-1:二度目がないと思っている?

 あの戦いで受けた被害は甚大――その一言に尽きた。クロフォードが育て上げた虎の子の第七艦隊は事実上潰滅させられ、バーザック提督以下第八艦隊は文字通り全滅した。その結果、ヤーグベルテ海軍は第一、第二艦隊を除いては完全に機能不全に陥ってしまっ...
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15-2-5:コーラスワーク

 レベッカ率いる第二艦隊が、セイレネスの射程内に暗礁海域を捉えた時にはすでに、友軍艦隊は壊滅状態に陥っていた。駆逐艦の幾らかは未だ健在ではあったが、海域には軽巡以上の艦艇の姿はない。旗艦ウラニアの|舳先《へさき》に意識を泳がせながら、レベ...
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