本文-ヴェーラ編1 01-2-2:見えてしまった過去 ↑previous 行こうか――と、三人は連れ立って歩く。カティはヴェーラたちがどこに住んでいるのかを知らない。少なくともカティの住む寮ではないこと以外は。 カティの右手をそっと握りながら、ヴェーラがポツリと言った。 ... 2021.09.11 本文-ヴェーラ編1歌姫は幻影と歌う
本文-ヴェーラ編1 01-2-1:焦げ付いた記憶 ↑previous カティは講義室の前の方で講義のサマライズをしているヴェーラとレベッカに視線を送りつつ、|携帯端末《モバイル》で空軍配信の動画を眺めていた。今日更新されたばかりのものだったが、実際のところは五年前に作られた動画の... 2021.09.11 本文-ヴェーラ編1歌姫は幻影と歌う
本文-ヴェーラ編1 01-1-4:ベルヴェルク ↑previous 広大な執務室の奥、ぽつんと一つ置かれたデスクにて、青年――ジョルジュ・ベルリオーズは腕を組んで目を閉じていた。 「ふぅん」 そう呟いて目を開ける。左目が不規則に赤く明滅する。 「《《無事に》... 2021.09.10 本文-ヴェーラ編1歌姫は幻影と歌う
本文-ヴェーラ編1 01-1-3:コンタクト ↑previous 図書室を出たヴェーラとレベッカは手をつなぎながら食堂の隣の売店に向かった。目的地にこれといった根拠はない。ヴェーラの「なんとなく」が発動しただけだ。 ヴェーラはぐいぐいとレベッカを引っ張って突き進んでい... 2021.09.07 本文-ヴェーラ編1歌姫は幻影と歌う
歌姫は幻影と歌う 01-1-2:教室の片隅にて ↑previous レベッカを先頭にして、六人の士官候補生(女子ばかり)が講義室の最前列に移動した。ヴェーラはのんびりと後をついてくる。レベッカはテキパキとタブレット端末と電子黒板を|接続《リンク》させて、試験範囲の講義を... 2021.09.04 歌姫は幻影と歌う本文-ヴェーラ編1
本文-ヴェーラ編1 01-1-1:二人の少女~ヴェーラとレベッカ~ ↑previous 実に退屈な講義だ。毎回とても退屈だ。少女は長く美しい|白金の髪《プラチナブロンド》をくるくると|弄《もてあそ》びながら、あくびを噛み殺していた。戦術研究科戦史研究室の教授による講義なのだが、講義室にひしめい... 2021.09.03 本文-ヴェーラ編1歌姫は幻影と歌う
本文-ヴェーラ編1 00-0-3:世界の頂点に居座る男 ↑previous ミスティルテイン、か。いいね、プロセスは一つ進んだということだね。 自分の指先さえ認識できないほどの完全なる闇の中、そんな言葉が浮かんで消える。その直後に、その天も地もない空間に、暗黒色のスーツを着た青... 2021.08.31 本文-ヴェーラ編1歌姫は幻影と歌う
本文-ヴェーラ編1 00-0-2:赤毛の少女~ミスティルテイン ↑previous またか。 あの夢――いや、現実。夢だったと思いたい。しかし現実に家族はもういない。生まれ育った村は地図から消えた。最初から何もなかったかのように。 アイギス村襲撃事件――その名前はそれから十年が... 2021.08.31 本文-ヴェーラ編1歌姫は幻影と歌う
本文-ヴェーラ編1 00-0-1:宣言文 -type declaration statement- 青年はゆっくりと周囲を見回した。青年の周囲には怯えた様子の人間たちが座らされている。 なすすべもなく、彼らはただその時を待ち望んでいる。逃れようもない、死への恐怖を渇望している。「いっそ早く殺してくれ」と叫びたいのをこらえている... 2021.08.30 本文-ヴェーラ編1歌姫は幻影と歌う