小説

歌姫は壮烈に舞う

12-2-5:帰路にて出会う

これ、夢? かな? レベッカは周囲を見回す。何もない、色もない。強いて言えば真っ白な空間だ。どこまでも同じ白が広がっていて、この空間の全体を把握することはできない。レベッカ自身の影もないのだ。 マリア? 目の前に現れた黒髪黒瞳の少女。それは...
歌姫は壮烈に舞う

12-2-4:撃破殲滅

ヴェーラの視界から敵性体のマーカーが急速に消えていく。ヴェーラは容赦なく再度主砲を斉射する。レベッカも阿吽の呼吸でそれに同期し、戦闘領域の熱量が嵐を起こすほどに高まった。アーシュオン第四艦隊は、その砲撃により息の根を止められた。旗艦ニック・...
歌姫は壮烈に舞う

12-2-3:戦艦、初陣

不思議な感じだ。 ヴェーラは味わったことのない感覚に戸惑っている。セイレネスの起動自体はいつもどおりに実行できた。シミュレータ訓練や実戦補助の経験値の|賜《たまもの》である。 しかし、起動してからの《《感覚》》は、今までとはまるで別物だった...
歌姫は壮烈に舞う

12-2-2:突撃、殲滅せよ

二〇八八年六月十二日、早朝――。 アーシュオン第四艦隊は三個艦隊相当の戦力を動員し、未だ暗い海原に重層な陣を展開していた。対するヤーグベルテは、クロフォード准将率いる第七艦隊のみ――表向きは――だ。ヤーグベルテ第七艦隊は、第四艦隊に誘い込ま...
歌姫は壮烈に舞う

12-2-1:出撃前夜

ヤーグベルテ統合首都、春の終わりの頃、二〇八八年五月二十六日、夜間――。 エディット邸のリビングに、ヴェーラたち四人が久しぶりに集合していた。エディットは次の作戦のために連日連夜の会議で帰ってくることが|稀《まれ》だったし、カティに至っては...
歌姫は壮烈に舞う

12-1-2:風が変わる

クラゲこと、ナイアーラトテップを撃破殲滅し、その上アーシュオン本土に歴史的大打撃を与えることに成功したその功績により、参謀部第三課統括であるアダムスは、《《大佐》》への昇進を果たした。最高の頭脳と呼ばれる《《逃し屋》》エディットと並んだわけ...
歌姫は壮烈に舞う

12-1-1:撤退と被害レポート

七月二十八日、十八時になろうかという頃に、アーシュオン第四艦隊司令官ドーソン中将は撤退を宣言する。当初は残ったナイアーラトテップを用いてヤーグベルテ第七艦隊を急襲することも考えたのだが、それは中央参謀司令部第二課、ミツザキ大佐によってあっさ...
歌姫は壮烈に舞う

11-2-3:カティの言葉、カティの掌

カティはドアをノックする。ヴェーラの|応《いら》えはない。カティはドアを開ける。カギはかかっていなかった。かかっていたとしても、カティは蹴破っていたかもしれない。 ヴェーラは慌ててベッドの上に身を起こし、目を見開いた。「ダメだって言ったのに...
歌姫は壮烈に舞う

11-2-2:レベッカが明かす真実

カティはまずヴェーラの部屋のドアを叩いた。だが、ヴェーラはカティの入室を拒否した。「ごめんね、カティ。わたし、カティにどんな《《顔》》を見せれば良いのか、わかんないから」 室内からは|掠《かす》れた重たい声が聞こえてきた。カティは胸がきゅっ...
歌姫は壮烈に舞う

11-2-1:立場と役割と

セイレネスによる――つまり、ヴェーラとレベッカによる――アーシュオン本土攻撃から、二週間が過ぎた。 心にあまりにも深い傷を負ってしまったヴェーラとレベッカは自室に引きこもってしまった。エディットの要請で派遣されたカウンセラーも門前払いを食ら...