――しかし、私は……悪役にも道化にもなれなかった。
士官学校「歌姫養成科」の第一期生。そして初の「V級」の歌姫である。V級というと、クラス的には下から二番目だが、それでも圧倒的な戦力となる。実際に、エディタ、トリーネ、クララ、テレサの四人の第一期生(92年度生)のV級たちは、まとめて「92年四天王」などと呼ばれた。呼んだのはマスメディアだが。
白金の髪、青い瞳の持ち主で、マリオン曰く絶世の美女。16歳で士官学校に入って表舞台に登場して以降、ずっと「美女」枠である。美少女というには大人っぽかったようだ。
ヴェーラ、レベッカとも人気を奪い合うほどの美女で、歌姫の活動の一環であるライヴステージでのパフォーマンスも圧巻らしい。極めてクールな性格と冷静な判断力を有しており、ヴェーラ、レベッカからも大いに頼りにされている。また全歌姫たちのリーダー格でもある。より強力な歌姫であるマリオンたちが登場してからは一歩引いたところに立つようになるが、それでも彼女らの精神的支柱であることに変わりはなかった。
戦闘指揮能力は極めて高く、自分の意志を殺してでも命令に忠実に従う。ただ一度、「静心」の終盤で、命令に反する行為をするが、それをして「専恣」と言っている。「専恣」というのは、我々が一般的に「独断専行」と聞いてイメージするような悪い意味である。自分の勝手な判断で動き、その結果味方に不利益をもたらすこと、のような意味である。ちなみに軍隊に於ける「独断専行」は指揮官の義務と言っても良い、決して悪い意味ではない。戦場が想定どおりでなかったからと言って毎回上層部に「どうしようどうしよう」と尋ねていては指揮官失格である。その時に自分の頭で考えて最適な指揮を行う――それが独断専行。エディタはその命令違反をして、専恣であると自虐した。
歌姫の中ではおそらく最もクール(に見える) その氷のような美しさもあいまって、冷酷冷徹冷静のようなイメージが付きまとうエディタであるが、それはあくまで表向きの話。仲間や後輩想いの熱い魂を持った女性である。それは「セイレネス・ロンド」終盤、同期の歌姫たちと袂を分かつシーンではっきりと示されている。
拡散粒子ビーム砲を始めとする新兵器を満載した圧倒的火力の重巡洋艦アルデバランを駆る。
ちなみに読書と筋トレが趣味である。