歌姫は壮烈に舞う

歌姫は壮烈に舞う

04-1-3:私の想いの在り処

   今回は、シルビアはさすがにスピードを出さなかった。というより、運転席には座ったものの、ほとんど|自動運転《オートマ》で、ミツザキやヴァルターとの会話に加わっていた。日が暮れた頃にミツザキは基地に戻っていった。ヴァルターとシルビ...
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04-1-2:薄ら寒い余韻

   あの子がどうやってアイスキュロス重工の重役になったのか。最初はそんなことを考えもした。なにしろアイスキュロス重工は、世界最大規模の軍需産業。兵器開発はもちろん、戦技研なども有しており、傘下には数多くの民間軍事会社を従えてもいる...
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04-1-1:アイスキュロス重工からの訪問者

   二〇八四年六月――。  ヴァルターとクリスティアンが向かった先は、要塞都市ジェスターの中央司令部の一室だった。ヴァルターたちは、アーシュオンに多大な軍事技術と戦力をもたらしているアイスキュロス重工の技術本部長の要請で訓練...
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03-1-1:支配者の憂鬱

   全くの闇の中に、黒いスーツを身に着けた男が一人、浮かんでいる。システム・バルムンクによって生成された暗黒の空間は、ジョルジュ・ベルリオーズにとっては唯一の安息の領域と言っても良かった。その整った白い顔には、|仄《ほの》かに笑み...
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02-2-6:燦めく夜の中で

   半袖では寒く、長袖では少々おおげさ――そんな風がベランダに出たヴァルターとエルザを弄ぶ。煌々たる月は薄い雲の彼方でもその存在感を示している。上空の視界は良好、水平線まで見通すことができるだろう。空は平穏、されど地上は、自国内で...
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02-2-5:反戦集会を穿つ者、穿つ者を利用する者

   ヴァルターはエルザとその両親、ローラとアンゼルムとともに夕食のテーブルについていた。大型のテレビの中ではいわゆる芸人たちがゲームに興じている。ヤーグベルテと戦争状態はあまりにも長く続き過ぎてしまったために、多くの民間人たちはそ...
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02-2-4:シルビアとエルザ

   ヴァルターはシルビアの車載音楽プレイヤーの中に、「LOVE SONGS」というプレイリストを見つける。|高BPM《ハイテンポ》の独特な曲が途切れると同時に、そのリストをスタートさせる。それに気付いたシルビアがとっさに|自動運転...
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02-2-3:ハイスピード・トラフィクス

   地下深くにある駐車場でヴァルターを出迎えたのは、クルマ素人のヴァルターにでもわかるほどの高級車だった。艶のある黒色をベースに、マットな赤がアクセントカラーとして配置されているカムテールだ。相当なクルママニアしか手を出さないと言...
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02-2-2:個人的な質問

   ヴァルターが自分の執務室へと向かって移動していると、後ろから誰かが追ってきた。むき出しのコンクリートの廊下は、軍靴の音を高らかに反射する。忍び歩きは不可能だ。ヴァルターはその音の主が誰かも把握できていたので扉を開けながら音の方...
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02-2-1:ミーティング

   それから三ヶ月。五月も半ばに差し掛かろうという頃まで、アーシュオンは一切の軍事作戦行動を中止した。アーシュオンの兵士たちにしてみればそれは平和ボケするのに十分な期間でもあった。 「確かに、うちらの|超兵器《オーパーツ》が...
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