04-02-01:エウロス飛行隊 vs 新人セイレーンたち

静心 :chapter 04 コメンタリー-静心
第四章ヘッダー

これは「#04-02: 女帝の右腕・エリオット中佐とのダイアログ」に対応したコメンタリーです。

さてさて 04-02 でございます。本当は「空の女帝」カティ・メラルティン大佐による特別講義……の予定だったのですが、カティは今は遠い海の上。急いで単機帰ってこさせるわけにも行かないし。というかそもそも「カティによる講義」自体がフェイクだったりする。その代役に立てられたのがナルキッソス1こと、「鬼神・エリオット」。ちなみに彼のファーストネームは不明です。というか明かされていません。

エリオット自身は「セイレネス・ロンド」の第一部~第三部まで出ずっぱりで、第三部終盤ではカティとのなかなかいい感じのやり取りがあったりするんですが、「静心」ではほぼほぼカットされてますね。悲しい……。

まぁ、そんなイケオジ、エリオットは、マリオンたち歌姫セイレーンに、セイレネス・シミュレータに乗るように促します。もちろん、戦闘シミュレーションを行うためです。心の準備の時間を与えない、エリオットさん。チャラオジと思っている人は軍にも一般人にもたくさんいるエリオットですが、実はものすごーくキレ者。イメージも言動もおおよそすべて計算されたもので、感情で動くことはまずない。常に冷静なんですね、この人。哲学があるというか。それがこの04-02後半の長台詞につながりますね。

それでマリオンたちはなし崩し的にシミュレータに乗るわけですが、マリオンが与えられたのはなんと、イザベラの戦艦・セイレーンEM-AZアルマはレベッカのウラニアレオンエディタアルデバラン。最強の艦船たちです。さすがにこれにはびっくりするマリオン。しかし、その戦艦たちを難なく動かしてしまうマリオンたち。システムがずらずらーっと処理しているんですが、これ、適正がないと反応しないんです。

で、このシミュレータは超正確に作られていて(開発者のブルクハルト中佐は天才なので)、リアル戦闘と寸分違わぬ操作感が実現されています。VRのチョースゲーヤツです(語彙力

そこに襲いかかってくるエリオット中佐のナルキッソス隊(のデータ)。エウロス飛行隊はエンプレス隊、ナルキッソス隊、ジギタリス隊で構成されているのはみんな知ってると思います。知ってるよな? エンプレス隊はカティ以下狂った練度の超人部隊なのでアレですが、ナルキッソスもジギタリスも、やっぱり「ありえない強さ」の集団です。どこをどう切り取ってもプロフェッショナル。そんな超人部隊がヒヨッコ歌姫たちに襲いかかります。

通常ならば秒殺で終わるところですが、そこはほら、マリオンとアルマとレオンのトリオ。歌姫としての実力はマリオン、アルマが群を抜きますが、指揮能力や状況判断力はレオンがダントツ。このパワーバランスがいいんだよ、うん。

で、レオンの重巡アルデバランが拡散ビーム砲をぶっぱなします。これ、宇宙戦艦ヤマトに出てきた「アンドロメダ」をパk……イメージしてます。最強の露払いアタック。一撃で驚異的な威力を持つ対艦ミサイルを半減させます。が、半減と言うのがポイント。ナルキッソス隊はここではミサイルを手動誘導しているので、粒子ビームの軌道を読んで回避行動を行わせているんですね。書いてませんけど←

そして出てきました、三式弾。

「アルマ、および本艦、三式弾装填そうてん、順次放て!」
『アルマ了解。三式弾装填完了。主砲口径最大でロック。三式弾、速射開始!』

セイレーンEM-AZとウラニアが全力で主砲をぶっぱします。主砲に三式弾。いい響きですよね。宇宙戦艦ヤマトですよね。三式弾。あのイメージです。パクリじゃないですよ、イメージです。オマージュです。ええ、リスペクトです。

それで対艦ミサイルは撃滅されるんですが、ナルキッソス隊がその程度でどうこうされるハズもなく。ぐわーっと接近してきたかと思うと、通常対空戦闘でしか用いない、多弾頭ミサイルをあろうことか艦艇に向けて撃ってきます。CIWS(←防御システム)が超発達している世界ですがそれを容易くかいくぐってドカーン。一瞬にして9隻もやられます。セイレネスがあっても無敵じゃないという話です。

戦艦、重巡洋艦の超火力を持ってしても、ナルキッソス隊には命中弾が出ない。これは照準システムを完全に欺瞞されてるからなんですね。嘘情報を流し込まれてる。戦場慣れした歌姫ならすぐ気付くんですが、なんせテンパってるマリオンたちですから、そこまでの余裕がない。それではセイレネスを使おうが何しようが当たるはずがない。それでますます冷静さを失い、被弾を重ね、さらに慌て、さらにダメージを受け、と負のスパイラルに陥って、完敗しちゃうという。航空戦力超KOEEEEEという話ですね。以前の話でマリオンが「航空戦力って役に立つのかな?」ってナメた質問してますが、その答えがコレですね。エースをナメたら死ぬぞ、という。まぁ、エウロス飛行隊という時点で例外なく化け物の集団なので、そこらの常識は通用しませんけどね。「暗黒空域」シベリウスの時代から、さらに化け物具合が増大してますしね。シベリウスの時代はそれでも時々撃墜されたりKIA(戦死)したりもしてた。でも、カティが隊長になって練度が急上昇して以後は、撃墜は機体トラブル起因などでたまにあるにしても戦死はないのですな。だから、カティ初登場の際の「墜とされたら全員にフルコース奢らせるぞ」発言があるわけです。

ぼっこぼこにやられて文字通り0:100で敗北したマリオンは「悔しい」という感情を抱きます。これはマリーにしてはかなり画期的。マリーはどっちかというと日和見的な性格で、あんまり勝ち負けとか競争とか意識しないで生きてきたという面があるわけです。それはまぁガツガツしてないという意味では良いんですが、軍人としてはどうなのという。そういうところに発破をかけたわけですね、エリオットは。これは参謀部第六課(というかマリア)からの指示だったのかもしれないですね。

とにかくマリオンさん、めちゃめちゃ悔しがっているんです、ここ。その源泉って何かって言うと「こんなんじゃ誰も守れない。みんな死なせてしまう」っていう焦慮しょうりょというか、責任感というか。

エリオット的には、そんなマリオンの表情・感情を引き出せた時点でミッションコンプリート、だったのかもしれないですね。

で、カティとシミュレータで遊んでみたらボコボコにされた話とか、ヴェーラやレベッカはそんなカティですら一撃浴びせられるか否かだとか、そういう話をされて、マリーたちは「ほえぇぇ」となっていますね。そう、強い歌姫は死ぬほど強い。ヴェーラやレベッカは、戦闘単位としてはもはや神ですから、人間の勝てる相手ではないのです、そもそも。

もっとも、カティも神の同類ですけどね。この時点ではカティは他の隊員と同じ「F108P(パエトーン)」に乗っていますが、後にスキュラ、そしてエキドナに変わっていくわけです。(静心ではスキュラはオミットして、エキドナだけが登場します) 最強すぎワロタwww です。

もっとも、成長したマリオンやアルマは反則級wwww な感じなんですが。

というわけで、次回はエリオット中佐の演説回でございますな!

→次号

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