本文-ヴェーラ編1

本文-ヴェーラ編1

09-0-0:三人目のディーヴァ

↑previous  恐ろしく広大な執務室の中で独り、ジョルジュ・ベルリオーズはつまらなそうにジークフリートの生成した情報群を眺めている。ジークフリートを生み出した張本人である彼の|下《もと》には、ありとあらゆる情報が集まってくる。...
本文-ヴェーラ編1

08-1-3:星を、見に行こう

↑previous  それからさらに一ヶ月が過ぎようという頃、二〇八四年四月二十日、夕刻。  カティは統合首都にある|瀟洒《しょうしゃ》なレストランにて、ルフェーブルと再会していた。ヴェーラ、レベッカも一緒である。規則正しく並...
本文-ヴェーラ編1

08-1-2:記憶の欠落

↑previous  シベリウスはソファに沈み込みながら、備え付けのテレビで垂れ流されているニュース番組を眺めている。実にどうでも良いニュースが《《いい感じ》》に脚色され、さも重大なそれであるかのように報道されている。かと思えば、「...
本文-ヴェーラ編1

08-1-1:目覚め

↑previous  ぼんやりと明るい。夜にかかる霧のようにぼんやりと。  アタシ、寝ているのか?  カティは懸命に目を開けようとする。少しだけ視界が晴れた気がするが、それだけだった。今自分が目を開けているのか否か。それ...
本文-ヴェーラ編1

07-2-7:存在のために。

↑previous  どういうことなんだ、これは!  カティは焦っている。突如現れた|F102《イクシオン》。あの|薄緑色《オーロラグリーン》の光以後、対空砲火は完全に沈黙した。しかし、そこにきて現れたのがこの|F102《イク...
本文-ヴェーラ編1

07-2-6:モノクロの世界の中で

↑previous  プルースト少尉の車から海兵隊のヘリへと乗り継ぎ、ルフェーブル中佐は士官学校の敷地へと侵入を果たしていた。校舎まではまだ数百メートルあるが、すでに重火器の有効射程もいいところだ。攻撃を受けていないのは、随伴してい...
本文-ヴェーラ編1

07-2-5:アトラクト

↑previous  非常用電源で稼働している照明は薄暗い。幸いにして、セイレネス・シミュレータの電源は全く別系統だったので、今回の電源遮断の影響は受けていない。その経路情報は技術責任者であるブルクハルトすら知らない。  ヴェ...
本文-ヴェーラ編1

07-2-4:夜を飛ぶ

↑previous  痙攣する横隔膜を押さえつけ、カティは操縦桿を握りしめる。奥歯が欠けてしまいそうだった。しかしそうでもしなければ、泣き叫んでしまいそうだった。しかし涙までは止められない。視界が歪む。格納庫内の明かりを反射して、眩...
本文-ヴェーラ編1

07-2-3:別離

↑previous  嘘だろッ!  カティは叫ぼうとした。しかし、胸が苦しくて声が出せない。息を吐き出す一切の行為ができなかった。鮮烈に赤い液体がカティの目の前に|拡《ひろ》がっていた。刻一刻とその面積が大きくなっていく。 ...
本文-ヴェーラ編1

07-2-2:兄妹の対峙

↑previous  轟音が消えるか消えないか。エレナが倒れた。その周囲におびただしい血液の海が広がっていく。暗い空間にあっても、カティたちにはそれがハッキリと認識できた。 「エレナッ!?」  我を取り戻したカティが、エ...
タイトルとURLをコピーしました