小説

本文-ヴェーラ編1

07-2-7:存在のために。

↑previous  どういうことなんだ、これは!  カティは焦っている。突如現れた|F102《イクシオン》。あの|薄緑色《オーロラグリーン》の光以後、対空砲火は完全に沈黙した。しかし、そこにきて現れたのがこの|F102《イク...
本文-ヴェーラ編1

07-2-6:モノクロの世界の中で

↑previous  プルースト少尉の車から海兵隊のヘリへと乗り継ぎ、ルフェーブル中佐は士官学校の敷地へと侵入を果たしていた。校舎まではまだ数百メートルあるが、すでに重火器の有効射程もいいところだ。攻撃を受けていないのは、随伴してい...
本文-ヴェーラ編1

07-2-5:アトラクト

↑previous  非常用電源で稼働している照明は薄暗い。幸いにして、セイレネス・シミュレータの電源は全く別系統だったので、今回の電源遮断の影響は受けていない。その経路情報は技術責任者であるブルクハルトすら知らない。  ヴェ...
本文-ヴェーラ編1

07-2-4:夜を飛ぶ

↑previous  痙攣する横隔膜を押さえつけ、カティは操縦桿を握りしめる。奥歯が欠けてしまいそうだった。しかしそうでもしなければ、泣き叫んでしまいそうだった。しかし涙までは止められない。視界が歪む。格納庫内の明かりを反射して、眩...
本文-ヴェーラ編1

07-2-3:別離

↑previous  嘘だろッ!  カティは叫ぼうとした。しかし、胸が苦しくて声が出せない。息を吐き出す一切の行為ができなかった。鮮烈に赤い液体がカティの目の前に|拡《ひろ》がっていた。刻一刻とその面積が大きくなっていく。 ...
本文-ヴェーラ編1

07-2-2:兄妹の対峙

↑previous  轟音が消えるか消えないか。エレナが倒れた。その周囲におびただしい血液の海が広がっていく。暗い空間にあっても、カティたちにはそれがハッキリと認識できた。 「エレナッ!?」  我を取り戻したカティが、エ...
本文-ヴェーラ編1

07-2-1:近接格闘戦

↑previous  もう少し、もう少しだ。ここを抜ければ格納庫に辿り着くことができる。  カティたちは息を潜めて扉の外をうかがう。  問題はまさに「ここ」だ。この扉を抜けてから格納庫までの数百メートル。遮蔽物は何もない...
本文-ヴェーラ編1

07-1-9:1725時

↑previous  とてつもなく遠い。いつもだったら何気ない会話の間に辿り着いている部屋。すぐそこだと感じていた部屋。そこに至る道。今は照明もなく、真っ暗だ。ジョンソンとタガートの持っている懐中電灯が唯一の|道標《みちしるべ》だっ...
本文-ヴェーラ編1

07-1-8:1720時

↑previous  会議は未だに終わらない。終わる様子もない。  ルフェーブルは腕を組み、人差し指で二の腕を叩いていた。あからさまな意思表示だ。だが、当の演説中のアダムス少佐は、それを気にも止めなかった。ルフェーブルはその明...
本文-ヴェーラ編1

07-1-7:1715時

↑previous  血を滴らせながら、フェーンはやっとのことでヴェーラたちと合流する。幸運にも生き残っていた海兵隊と合流することができたからだ。とはいえ、彼らはフェーンの目的のために一人また一人と犠牲になり、先ごろついに全員が戦死...
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