小説

本文-ヴェーラ編1

07-1-6:1712時

↑previous  使い物にならないライフル、そして《《敵》》。視線を送りながら、カティは確かに絶望した。黒尽くめの兵士はナイフを振り上げ――。  その直後に銃声が響き、兵士は前のめりに倒れ込んだ。派手な金属音が廊下を|木霊...
本文-ヴェーラ編1

07-1-5:1710時

↑previous  士官学校周辺の通信はすべて奪われたと考えて良い――フェーンは一人、吐き気をもよおす臭気を突っ切って、シミュレータルームへと向かっていた。レクセル大尉に出した指示が守られているのだとすれば、まもなく|歌姫《セイレ...
本文-ヴェーラ編1

07-1-4:1705時

↑previous  火炎放射器の劫火が教室を焼き払おうとするまさにその直前、重甲冑を装備したその兵士は、激しい銃撃を食らってバランスを崩した。横殴りの鉄の暴風だったが、兵士は未だ倒れない。 「早く部屋から出ろ!」  操...
本文-ヴェーラ編1

07-1-3:1657時

↑previous  《《逃がし屋》》こと、エディット・ルフェーブル中佐は、なかなか終わらない会議にイライラとしていた。今どき対面型の会議など――とは思うが、そもそもオンラインの情報の信憑性が低くなってしまっている現在、それはやむを...
本文-ヴェーラ編1

07-1-2:1655時

↑previous  カティ、ヨーン、エレナの三人は、連れ立って食堂の方へと向かっていた。その途上で電話やネットが繋がらなくなり、周囲が騒然とし始める。カティもヴェーラたちに連絡をしようとしてそれに気が付いた。知らぬ間に周囲に人の流...
本文-ヴェーラ編1

07-1-1:2084年2月6日ー1645時

↑previous  ヤーグベルテがあの同時多発的大空襲により未曾有の被害を被ってから、一週間が経過した。ヤーグベルテ国内の混乱は、未だに収まる気配すらない。まさか自分たちは被害を受けることはあるまいと、戦争を|他人事《ひとごと》と...
本文-ヴェーラ編1

06-2-4:冥王星の物語

↑previous  ヨーンのその言葉に、カティは首を|傾《かし》げる。 「今は?」  惑星がそう簡単に数を減らしたりなんてするものだろうか?  カティが「?」をふわふわ浮かべ始めたのを見て取って、ヨーンは静かな声...
本文-ヴェーラ編1

06-2-3:清澄なる空の下

↑previous  タイヤが静かに地面を転がり、ほんの僅かに搭乗者たちに振動を伝えてくる。サスペンションがいい仕事をしているおかげで、二人の空気は穏やかに|揺蕩《たゆた》っていた。ボリュームを絞られた音楽は、沈黙よりも心地よい静寂...
本文-ヴェーラ編1

06-2-2:不器用なキス

↑previous  カティとヨーンは並んで食堂を出る。その間、言葉はなく、ただ少し固い呼吸音が流れていた。 「とっ、ところでヨーン」  薄暗い廊下を歩きつつ、カティはどこか素っ頓狂な声を出した。ヨーンは少し肩をビクつか...
本文-ヴェーラ編1

06-2-1:感情に理屈はいらない

↑previous  後に「八都市空襲」と呼ばれることになるこの未曾有の被害を受けたのは、セプテントリオ、アザームヴァレー、レクタル、イェーセン、バルホルンベルテ、エルステート、アレミア、レピアのいずれも小さくはない都市たちである。...
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