歌姫は壮烈に舞う

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11-1-4:銀髪のセイレーン

 分離した十発の核弾頭がアーシュオン第四艦隊に向けて降り注ぐ。アーシュオンの迎撃も失敗に終わる。もはや万に一つも仕留め損なうことはない。旗艦さえ仕留めれば、そこに駐機している超エース部隊であるマーナガルム飛行隊もろともに葬ることができる。...
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11-1-3:殲滅命令

 ナイアーラトテップを撃沈した海域は荒れに荒れていた。だが、そこに放射線は検知出来なかった。エディットが身を乗り出してモニターを睨む。 「……本当にないのか?」「ええ、大佐。間違いありませんね。少なくとも有害と言える量ではありません...
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11-1-2:歌姫コンフリクション

 第二波のミサイル総数、三十六。弾頭数にして三百六十発。ヴェーラとレベッカはその全てを掌握していた。全てを命中させる必要はない。だが、最低でもナイアーラトテップを一隻撃沈せしめる必要があった。そのためにどれほどのリソースが必要なのかは、不...
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11-1-1:黒い棺

 遡ること一時間、七月二十八日、十五時を過ぎた頃――。  ヴェーラとレベッカは統合首都にある研究施設に新設された「巨大な黒い棺桶」こと、新型のセイレネスシミュレータに乗り込んでいた。従来のシミュレータに比べて大きさは三割増し、接続さ...
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10-2-2:赤 vs 白

 敵機、百二十か――。  カティはコックピットの中で情報を確認する。百二十に加えて、奴らには特殊航空戦力と分類される厄介な連中がいる。総数ではヤーグベルテが勝る。だが、数的優位など意味のないものだった。 『こちらナルキッソス1...
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10-2-1:カードは全て切られ得る

 ヤーグベルテ側の総戦力は、最終的には五個艦隊相当にまで膨れ上がった。海軍と空軍の動員兵力は、合計四万名を超えていた。これだけの数の兵員が最前線に配備されるというのもまた、前代未聞の出来事だった。  対するアーシュオンは、最強とうた...
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10-1-3:この戦いが終わったら――

 シルビアがヴァルターを送り届けた先は、ヴァルターとエルザの新居だった。エルザはヴァルターが車から降りる前に家から出てきていた。到着を待ち構えていた、といった様子だった。 「シルビアさん、いつもありがとうございます」「いえ……」 ...
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10-1-2:助手席にて

 何度目だっけ?  ヴァルターは運転席に座るシルビアの凛とした横顔を盗み見て思う。その大理石のように冷たい横顔からは、彼女が何を考えているのかを読み取ることはほとんど不可能だ。シルビアはサングラス越しに一瞬ヴァルターを見|遣《や》り...
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10-1-1:迎撃用意

 ヤーグベルテの守護神、《《暗黒空域》》カレヴィ・シベリウス大佐の戦死より、一年が経過しようとしていた。二〇八七年七月である。 「中央参謀司令部はヤーグベルテが侵攻してくるという情報を入手した」  険しい表情でヴァルターは言う...
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09-2-3:冷たい身体

 それから一ヶ月半、十二月も半ばの頃。ついに恐れていた事態が起きた。いつもなら誰かが帰宅するなり立ち上がり、頭を撫でろと前足をバタバタさせていたクレフだが、今日はエディットの姿を見ても、横になったまま身動きをしなかった。いつもより呼吸が早...
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