小説

本文-ヴェーラ編1

03-3-3:襲来

↑previous  間に合え! 間に合え――!  強烈な加速度を全身に感じながら、暗黒色の|航空甲冑《フライトスーツ》を身に着けた男が噛み締めた奥歯の奥から声を絞り出す。半透明のバイザー越しにも明らかなその眼光は、異常に鋭利...
本文-ヴェーラ編1

03-3-2:You’ve bewitched me.

↑previous  肩を怒らせながら食堂を出たカティは、その足で真っ直ぐにガーデンスペースへと移動した。ガーデンスペースは食堂や廊下と比べて室温が低く保たれており、考え事をするのにはうってつけ――と、エレナに聞いたことがあったから...
本文-ヴェーラ編1

03-3-1:僕は迷わない

↑previous  それから二週間が経過する頃には、カティの同期たちも|F102《イクシオン》をそれなりに飛ばせるようにはなっていた。もちろん適性の問題はあるにしても、飛ぶだけなら全員が|一端《いっぱし》のパイロットだった。それぞ...
本文-ヴェーラ編1

03-2-6:選択的犠牲

↑previous  K.I.A.、すなわち戦死だった。カティ、エレナ、ヨーンの三名はフェニックスの撃ち込んできた核ミサイルによって蒸発したのだ。敵にフェニックスという高価な兵器を運用させたことと、最新鋭攻撃機|FAF221《カルデ...
本文-ヴェーラ編1

03-2-5:極限のシミュレーション

↑previous  カティ、エレナ、そしてヨーンの三名がそれぞれにシミュレータで機体を飛ばす。カティたちクリムゾン隊が離陸した直後に飛来した数ダースもの巡航ミサイルが、滑走路や基地施設を破壊する。これで帰る家がなくなった。カティは...
本文-ヴェーラ編1

03-2-4:国家のオーダー

↑previous  年末年始休暇が終わるや否や、士官学校には日常が戻ってきた。カティとエレナの顔にうっすら残っている青アザは、多くの候補生たちの憶測を呼んだ。休暇中になにごとか大喧嘩をしたのだという噂が独り歩きし、エレナの取り巻き...
本文-ヴェーラ編1

03-2-3:模擬戦からのピザパーティ

↑previous  それから一時間ばかり経った頃、カティとエレナは格技訓練室にて隣り合って仰向けに寝転がっていた。二人とも正規の耐ショックスーツとヘッドギアを身に着けていたのだが、顔は腫れ上がっていたし、全身あらゆる箇所に内出血を...
本文-ヴェーラ編1

03-2-2:ポップ・レクイエム

↑previous  突如鳴り響いたそのアラームに、カティとエレナは顔を見合わせる。そして一も二もなく|携帯端末《モバイル》を取り出して、情報を確認する。戦闘開始や終了時に通知が来るのだが、このアラームが鳴る時は、ヤーグベルテ側に甚...
本文-ヴェーラ編1

03-2-1:友達として

↑previous  翌朝、カティは顔に当たる柔らかい感触に驚いて目を覚ました。 「……?」  エレナの胸に抱かれる体勢になっていることは数秒で理解した。だが、なぜエレナが下着姿なのかはついに理解出来なかった。つまりカテ...
本文-ヴェーラ編1

03-1-7:この思慕は、本当に私のもの?

↑previous  カティとエレナは、並んで湯船に浸かっている。程よい湯気が二人の体温を少しずつ上げていく。 「生き返るわぁ」  まんまとカティの背中を流すことに成功したエレナは、満足げに天井を仰いだ。カティはふっと息...
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